いぼの治療④〜自然治癒という奇跡〜
印象に残った患者さんのこと
少し前に、とても印象的な患者さんがいらっしゃいましたので、ご紹介します。
20代の男性。手足に多発するいぼで、2年前から治療を開始しました。
初診時の状態はこうでした。
両手に10個
両足は複数のいぼが癒合(くっついて一体化)し、分厚い塊になったものが3か所
その他にも12個
毎回の処置は、患者さんにとっても、私にとっても、なかなか大変なものでした。
この患者さんの「気になる点」と「助かる点」
治療しながら、私が内心どんなことを考えていたか、正直に書いてみます。
気になる点
① 受診が月1回しかない
これでは治りにくいのが正直なところです。仕事やサッカーでお忙しいのは理解できますが、いぼ治療は継続的な通院が欠かせません。
「まだ治らないのですか?」と聞かれることが多いため、当院では初診時に治癒まで時間がかかることを丁寧に説明し、説明用紙にサインをいただいています。
② サッカーをしている
足の裏が繰り返し擦れることで、いぼが増えてしまうケースがあります。最初から運動を止める必要はありませんが、いぼが増えてきた場合は、運動を一時休止することを検討していただくのが望ましいと思います。
③ いぼが多発・大型化している
数が多かったり、大きくなったいぼは治りにくい——これは、皮膚科医の間でも共通の認識です。
助かる点
痛みを強く訴えない
これは本当に助かります。実は、痛みを強く訴える患者さんは、治療への反応がよくない傾向があると感じています。
その後の経過…悪化の一途
カルテを振り返ると、状況は厳しいものでした。
4回目:右親指の足底に新たないぼが出現
5回目:両足に新生
6回目:両足・両手に多数の新生
月1ペースで合計9回受診されたあと、そのまま来院されなくなりました。
10か月後の再会
今年5月、実に10か月ぶりに受診されました。
「またいぼが増えているのでは…」と内心身構えていたのですが、今回の主訴はにきびでした。
にきびを診察したあと、おそるおそるいぼのことを聞いてみると——
「治りました」
ダーモスコープで確認すると、なんと本当にすべて消えていました。
自然治癒という現象
いぼ治療の面白いところは、こういうことが起きることです。
この方は、ご自身の免疫の力でいぼを完全に治しました。これを「自然治癒」といいます。
素晴らしいことだと思う反面、皆さまにはこの方を真似しないことを強くお勧めします。
一般的には、単発(1個だけ)のいぼであっても、1年放置すると大きくなったり増えたりすることは珍しくありません。きちんと通院していれば、とっくに治っていたのに……というケースが多いのが現実です。
この方はあくまでもレアケースです。
まとめ
いぼは、根気よく通院することが、最も確実な治療への近道です。
自然治癒を期待して様子を見るのではなく、早めにご相談ください。
